会場は愛知芸術文化センターを中心に、瀬戸のまちなかなどにも広がり、街全体がゆるやかにアートとつながっていました。絵画や焼き物だけでなく、映像、音、インスタレーション、パフォーマンスなど表現の形も実に多彩で、ただ「見る」だけではなく、「包まれ、考えさせられる」展示が多いのが印象的でした。
僕は、現代アートは解釈にするのにとても難しい作品がある印象ですが、今回の芸術祭の作品は面白く、アーティストさんの伝えたい事と作品がリンクしていてわかりやすいものが多かった気がします。
キュレーター:フール・アル・カシミ。
今回の芸術祭を束ねるのは、国際的に活躍するキュレーター:フール・アル・カシミ。
彼女はシャルジャで2年に1度開催されているシャルジャビエンナーレをはじめ、世界各地の芸術祭においてもキュレーター、ディレクターとしてその腕を振るい、イギリスの現代美術雑誌『ArtReview』が、毎年、現代アートの発展に貢献した人物をランキング形式で発表する「Power100」の2024年版で、第1位に選出されています。
社会や歴史、自然環境、人の記憶といったテーマをすくい上げながら、単なる“きれいな美術展”では終わらせない構成が特徴だ。テーマの《灰と薔薇のあいまに》も、破壊と希望、終わりと再生、そのあいだで揺れる人間の姿を静かに見つめる視点そのものだと感じました
今回のテーマ(灰と薔薇のあいまに)はアラブの詩人である、アドニスが第三次中東戦争後に書いた詩から、今回の主題となるその言葉を取りだしたようです
ジョン・アコムフラ
僕は、今回の芸術祭で人に伝えたいと感じた気に入った作品がとても多かったのですが
数ある作品の中で、特に強く心に残ったのが、ジョン・アコムフラの映像作品でした。
彼の作品《眩暈の海》は、人間と海の関係を考察し、奴隷制や移住、紛争、生態系の歴史などの記録フィルムを上手く使って構成されていて
3つのスクリーンを使って、重なり合う映像と音の中に浮かび上がってきたのは、人が白熊や鯨を狩りするところや奴隷船、水爆実験などでした。親子の鯨が人間に襲われている時の鯨の悲痛な鳴き声がとても印象的でした。権利と権力、生と死、強者と弱者という、あまりにも根源的なテーマだった。歴史の中で繰り返されてきた支配と抑圧、奪う側と奪われる側。その構図が、静かでありながら圧倒的な強度で突きつけられてくる。ただ「美しい」だけでは語れない、重く、深い時間でした。
思い
そしてその映像を見終えたとき、ふと心に浮かんだのは、**「自分にできることは、目の前に出された食べ物に手を合わせて感謝することなんだ」**という、とても小さく、でも確かな実感だった。世界の不条理を前に無力でも、今日の一皿に感謝し、命をつなぐことはできる。その当たり前の尊さを、あの映像は静かに教えてくれた気がします
戦争、環境問題、分断、不安。現代はどうしても“灰”の話題が多くなる。でも同時に、人は表現し、祈り、希望を失わずに生きている。その“薔薇”の気配を、確かに感じられる時間だったと思います。
今回の展覧会に限らず、演劇、LIVE、映画——そうした表現に触れる時間は、新しい気づきを与えてくれたり、いつのまにか忘れていた感覚を取り戻させてくれたりします。忙しい日常の中で、感情が少し鈍くなっていることに気づかされることもあり。だからこそ、こうした「立ち止まる時間」は、今を生きる自分にとってとても大切なものなのだと、あらためて感じました。
12月の営業についてのお知らせです。
最終の12月29日(月)は営業いたします。
また、27日(金)・28日(土)・29日(月)はすでにご予約が満席となっております。12月後半は全体的に空き枠が少なくなってきておりますが、12月前半はまだ比較的ご予約に余裕がございます。ご来店をご予定の方は、ぜひお早めのご予約をおすすめいたします。
12月キャンペーン
さらに、年末恒例のキャンペーンとして、店内商品をすべて10%OFFでご購入いただけるお得な期間もご用意しております。この機会に、気になっていたアイテムやご自宅用・プレゼント用など、ぜひご利用ください。
今年の締めくくりも、皆さまとお会いできる時間を楽しみにお待ちしております。





